近年、宇宙産業が急速に発展している中、北海道大樹町を本拠とするインターステラテクノロジズ株式会社が新たな一歩を踏み出しました。2025年6月12日、同社は大樹町と新しい人工衛星打上げ場「Launch Complex1(LC1)」に関する基本合意書を締結しました。本記事では、この取り組みの背景や今後の展望について詳しくお届けします。
大樹町とインターステラテクノロジズのこれまでの歩み
大樹町は1985年から40年以上にわたり、航空宇宙産業を誘致してきました。地理的に有利な立地を活かし、東と南に広がる海に面した大樹町は、発射場の拡張性も高くかつてから宇宙産業に特化した町づくりを進めてきました。インターステラテクノロジズは2013年にここで事業を開始し、既に数回の成功したロケット打上げを実現しています。
2019年と2021年には、同社の観測ロケットMOMOが宇宙空間に到達し、日本の商業宇宙産業の発展に貢献しました。この実績をもとに、2024年にはLC1からの打上げを計画する企業として評価され、多くの国内外の事業者の中から選ばれたのがインターステラテクノロジズです。
新発射場「LC1」の特徴と期待される役割
新たに整備されるLC1は、商業用途に特化した宇宙港で、様々な軌道への打上げが可能です。東京からのアクセスも良好で、世界的に見ても高い利便性を誇ります。大樹町長である黒川豊氏は、これにより「大樹町産ロケット」が誕生することへの期待感を表明しました。ロケットの設計から打上げまで地域内で行うことは、地方創生にも寄与する重要な要素です。
インターステラテクノロジズの未来
今後、インターステラテクノロジズはLC1に必要な設備や推進剤プラントの整備を進めていくとしています。CEOの稲川貴大氏は「北海道スペースポートの利便性と、大樹町との連携を強化し、日本の宇宙輸送能力の向上に寄与したい」と意気込みを語りました。今後の打上げスケジュールや新技術の開発に、大いに期待が寄せられています。
この基本合意書の締結は、単なる契約に留まらず、北海道大樹町が目指す宇宙産業を核とした地方創生の大きな一歩となることでしょう。北海道スペースポートを通じて、地域の活性化とともに新たな宇宙ビジネスのポテンシャルを引き出すことに注目が集まっています。
私たちの生活にますます身近になりつつある宇宙産業。これからの展開に、ぜひ注目していきたいと思います。