江戸文化と手ぬぐいを楽しむ絵本『ねこきちのてぬぐい』の魅力

絵本『ねこきちのてぬぐい』が伝える江戸の心

江戸時代はリサイクルが盛んだった社会。そんな背景を素朴なかわいらしさで伝える絵本『ねこきちのてぬぐい』が登場しました。この絵本では、猫のねこきちと手ぬぐいを通して、使い捨てとは異なる、手ぬぐいの持つ多様な役割やそのライフサイクルを描いています。

絵本の主人公は手ぬぐい

『ねこきちのてぬぐい』の表紙には、主人公のねこきちが手ぬぐいを撫でる姿が描かれています。手ぬぐいが主人公というユニークなアイデアが魅力の一つです。この手ぬぐいは、落語や江戸文化を愛する作者・かとうまふみさんが描いています。手ぬぐいをテーマにすることで、リサイクル文化や循環社会の大切さを子どもたちにも分かりやすく伝えています。

かとうまふみさんの思い

かとうさんは、北海道在住の絵本作家。畑仕事をする中で手ぬぐいを使い、江戸のリユース文化を感じた経験から、この絵本が生まれました。手に馴染む素材感や風の心地よさが、江戸の暮らしを思わせるとのこと。これまでの作品の中でも、特にこの本には、彼女の江戸文化に対する愛が込められています。

立体感のある絵

絵本の最大の特徴は、手ぬぐいが実際に布で作られている点です。すべての手ぬぐいが、手作業で「豆絞り」柄に仕上げられており、ページをめくる度に触感を楽しめるのも魅力的です。普通の絵のように平面的には描かず、立体的に表現することで、絵本の内容にさらなる深みが生まれています。

ねこきちと手ぬぐいの友情

物語は、ねこきちと手ぬぐいの仲良しぶりから始まります。二人は楽しく日々を過ごしていますが、やがて古い布が燃やされる場面に直面します。このシーンは、私たちが現代社会で直面している大量消費や使い捨ての文化を映し出しています。これを通じて、かとうさんは、心を大切にすること、物を大切にして使い続けることの意義を訴えかけます。