宇宙の未来を拓く北海道スペースポート
2024年1月27日、SPACE COTAN株式会社が世界18の宇宙港と共に「商業宇宙活動の行動規範に関する原則」通称ワシントン・コンパクトに署名しました。この取り組みは、国際的な協力のもと、宇宙活動の持続可能性や透明性を高めるものであり、商業利用の促進を目的としています。
SPACE COTANが運営する「北海道スペースポート(HOSPO)」は、民間に開かれた宇宙港として、宇宙活動の場を提供することを目指しています。大樹町を拠点にし、ロケットの打ち上げ事業者や人工衛星の事業者への支援を行うこの宇宙港は、企業や政府、研究機関など、さまざまな関係者に機会を提供しています。
署名式には、SPACE COTANの代表取締役社長兼CEOである小田切義憲氏が出席。宇宙活動の法律や国際規範に基づく持続可能な活動を実現するため、さまざまなロケット事業者に対する打ち上げの機会を増やすことを目指しています。「ワシントン・コンパクト」の内容には、民間の宇宙探査が協力と平和を実現するためのビジョンを確立することや、相互運用可能なインフラの開発が含まれています。
ワシントン・コンパクトの重要性
ワシントン・コンパクトは、オランダに拠点を置くシンクタンク「The Hague Institute for Global Justice」がまとめたもので、約200の宇宙関連企業や団体が署名しています。このコンパクトは、未来の宇宙活動を持続可能にするために必要な法的枠組みや透明性を確保することの重要性を強調しています。また、国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)などの多国間フレームワークを認識し、宇宙利用を加速するためのガイドラインを提供します。
SPACE COTANは「The Global Spaceport Alliance(GSA)」に加盟し、国際協力を強化するための覚書を2024年10月に締結する予定です。これは、商業宇宙利用の拡大に向けた動きであり、参加する宇宙港同士が連携して、相互運用性を高める取り組みを行います。
地域貢献と未来の展望
大樹町は、宇宙産業の発展を推進するビジョンとして「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」という目標を掲げています。これにより、地域の活性化やビジネス創出も期待されています。HOSPOは、人工衛星の打ち上げに対応した新しい射場「Launch Complex1(LC1)」の整備を進めており、その資金の一部は企業版ふるさと納税制度を利用しています。
また、大樹町とSPACE COTANは、内閣府特命大臣から表彰されるなど、地方創生の取り組みが高く評価されています。2025年には、国の宇宙戦略基金に採択されるなど、北海道スペースポートは未来に向けた基盤技術の研究・開発を進めます。
国際的な協力と地域の発展を同時に実現していく北海道スペースポートは、今後も宇宙活動の最前線での役割を果たすことが期待されています。持続可能な宇宙利用の実現に向け、関係者と協力しながら進んでいく姿勢が、これからの宇宙業界にとっても重要な要素となっていくことでしょう。