函館港まつりの観光行動をAIが可視化
北海道函館市の道南ITコミュニティ「はこだてIKA」は、2025年の函館港まつりにおける観光客の行動を分析しました。この調査は、東京都台東区のレイ・フロンティア株式会社が提供したAIツール「SilentLog Analytics」を使用して行われ、観光の新たな姿を明らかにしました。
函館港まつりについて
函館港まつりは、1935年に函館大火からの復興を願って始まった歴史ある祭りで、毎年8月1日から5日まで開催される函館最大の夏祭りです。この祭りでは、電飾花電車の運行や市民参加型パレード「ワッショイはこだて」、花火大会など、多様なプログラムが展開されます。
2025年の祭りでは、GLAYのTERUさんによるパフォーマンスや元TOKIOの松岡昌宏さんの参加が話題を呼びました。また、音楽イベントや花火大会が行われ、観光客の行動が多様化していることが確認されています。
AIを用いた行動分析
本分析は、来訪者の滞在時間や移動パターン、訪れるエリアなどを多角的に解析しました。調査期間は2025年8月1日から5日までの5日間で、函館駅前、大門地区、五稜郭公園周辺、そして湯の川温泉街を対象に行われました。調査方法として、スマートフォンから収集された匿名化された位置情報データを使用し、さまざまな項目が解析されました。
具体的には、以下の項目が分析されました:
- - 滞在時間と滞在密度
- - 移動特性(歩数・歩幅)
- - 昼間と夜間の行動の時間帯比較
- - 宿泊地別の滞在傾向
- - 訪問スポットとその滞在時間
- - 来訪者の年齢や性別などのペルソナ推定
観光客の行動の変化
本調査から見えてきたのは、観光客の滞在時間の延びと夜間のアクティビティの増加です。特に、平均滞在時間が約30%延びたことが確認され、観光客が遅くまで楽しむ傾向が見受けられました。若年層の増加と音楽イベントの影響により、観光行動が多様化しています。
また、調査によれば、通常時の滞在時間は45〜90分に対し、祭り期間中は90〜150分に延びる傾向がありました。これにより、観光客が複数のエリアを巡る様子が伺えました。
滞在傾向と宿泊状況
宿泊傾向についても分析が行われ、湯の川温泉では2〜3泊の長期滞在が多く見られる一方、函館駅周辺は短期滞在のビジネス客が中心でした。五稜郭周辺は観光と宿泊両方の中間の拠点として機能していることも明らかになりました。
まとめ
この調査結果は、函館港まつりが地域経済に与える影響を示すものであり、AI技術の導入によって観光行動の未来を見据えることができる一助となります。「はこだてIKA」は、今後もデータ分析を通じて地域活性化に努め、全国の観光都市への応用も視野に入れています。函館港まつりの科学的な分析結果は、今後の観光戦略の重要な材料となるでしょう。