北海道スペースポートが新たな宇宙事業に挑む
北海道の大樹町に位置するSPACE COTAN株式会社が、将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)との基本合意書(MOU)を締結しました。この合意は、北海道スペースポート(HOSPO)からのロケット打上げを実現し、宇宙輸送の未来を開く重要なステップといえます。
合意の背景と目的
HOSPOは、宇宙商業化を目指して2021年4月に本格稼働した民間の宇宙港です。広大な土地を持ち、射場の拡張性が高く、宇宙ビジネスの重要な拠点として成長を続けています。SPACE COTANは、地域の特性を活かし、航空宇宙産業の発展に寄与することを目指しています。
この度結ばれたMOUに基づき、SPACE COTANおよびISCは、ロケット「ASCA1.2」の打上げに向けた具体的な計画を策定することになります。この試験機は、100kg級の小型人工衛星を打上げることを目指しており、さらなる技術開発を進めるための実験的なプラットフォームなのです。
ISCのビジョンと未来の展望
ISCは「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を宇宙でも。」をミッションとし、宇宙往還の実現を目指しています。2025年にはアメリカでASCA 1シリーズの初の飛行試験を行い、2040年までには国際競争力のある有人宇宙輸送システムの実現を目指しています。
このビジョンの実現には、HOSPOでの具体的な打上げの検討が不可欠です。両社は、事前に技術情報を共有し、打上げ計画を練り上げていくことになります。
地域活性化への寄与
SPACE COTANの小田切CEOは、このMOUの締結が地域の活性化に寄与することを期待しています。HOSPOを軸に、宇宙産業が地域にもたらす経済効果は計り知れません。新たな雇用創出や観光資源としてのの役割も期待されており、今後の展開に注目が集まります。
HOSPOは、すでに2024年に国際的な宇宙港との覚書を締結する見通しであり、宇宙港の国際標準化や運用コストの削減に向けた取り組みも行っています。これらの活動は、地域のビジネスチャンスを広げ、北海道を宇宙産業の聖地とすることを目指しています。
新たな射場整備と将来のビジョン
HOSPO内では、新たな射場「Launch Complex 1(LC1)」の整備が進行中です。この射場は人工衛星の打上げに対応できるよう設計されており、周囲の自然環境との調和を意識した施設となっています。また、地域の企業と連携し、資金調達や技術支援も行なっています。
大樹町は、宇宙ビジネスの発展を通じて地方創生を促進する取り組みを行っており、内閣府特命大臣表彰を受けるなど評価も上昇しています。このような取り組みが、人口減少の緩和にもつながると期待されています。
まとめ
SPACE COTANとISCによる基本合意は、北海道に新たな宇宙産業の波を引き起こす可能性を秘めています。宇宙輸送の新時代が、地域にどのような変化をもたらすのか、引き続き注目していきたいところです。北海道スペースポートが地域活性化と宇宙事業の結びつきを進めることで、多くの人々に夢と希望を与えることが期待されます。