千島海溝南部での超巨大地震の多様性を解明
北海道太平洋沿岸地域では、津波堆積物の調査から過去に発生した超巨大地震の特徴が明らかになり、地震の多様性が浮き彫りになっています。この研究は、国立研究開発法人産業技術総合研究所と弘前大学の共同によるものであり、17世紀と13~14世紀に起きた地震の震源特性を推定することを目的としています。
研究の背景
千島海溝南部では、過去にマグニチュード8クラスの大規模な地震が繰り返し発生し、観測データや歴史資料からその事実が裏付けられています。特に、十勝沖や根室沖では、これらの地震が連動して起こる超巨大地震が約400年の間隔で発生してきたことが知られています。このような超巨大地震は、津波を引き起こし、その跡が堆積物として残されています。
研究の目的
今回の研究では、17世紀と13~14世紀の津波堆積物を詳細に調査し、その分布や特性を比較することに重点を置きました。これにより、異なる地震タイプを理解し、防災対策の高度化につながることを期待しています。
津波堆積物の調査
研究チームは、北海道太平洋沿岸での津波堆積物の分布を調査するため、浜中町、白糠町、釧路市、大樹町の計96地点で掘削調査を実施しました。得られたデータに基づいて、津波堆積物の識別を行い、年代測定を行うことで、異なる地震の津波堆積物がどのように分布しているかを明らかにしました。特に浜中町霧多布湿原では、17世紀と13~14世紀の両方の堆積物が1キロメートル程度内陸まで確認されました。
津波の浸水シミュレーション
続いて、津波の浸水シミュレーションを行い、それぞれの地震の影響を評価しました。13~14世紀の地震については7通りの断層モデルを検討し、得られた結果を堆積物の分布と比較しました。この結果、13~14世紀の地震の破壊領域が特定され、他の地震と比較して大きなすべりを持つことが示されました。
異なる地震の特徴
今回の研究から明らかになったこととして、17世紀の地震は主に十勝沖において大きなすべりを示す一方、13~14世紀に起きた地震では根室沖に大きなすべりがあったことがわかりました。これは、千島海溝南部では異なる破壊様式を持つ地震が繰り返し発生していることを示しています。
今後の展望
この研究成果は、千島海溝南部での地震活動をより深く理解するための重要な第一歩と位置づけられます。北海道東部では過去200年程度の歴史記録しか存在せず、さらなる地質調査が必要です。今後も現地での調査を続け、過去の超巨大地震や津波の実像をより詳細に復元することが期待されています。
まとめ
この研研究により、千島海溝南部の超巨大地震の性質や津波の影響についての理解が深まることで、今後の防災戦略に有益な知見が提供されることでしょう。地震によるリスクを軽減するために、私たちがどのように対策を講じるべきか、この研究は貴重な示唆を与えてくれます。
詳細については、2025年12月30日に発表される予定の論文「Geophysical Research Letters」を参照してください。