富良野ウイスキーの新時代へ
北海道の富良野地区で堅展実業の厚岸蒸溜所が進めているウイスキー原酒の熟成が、2025年度中に製品化されることが発表され、ウイスキー愛好者の期待が高まっています。これまでの熟成の過程や今後の展望について詳しく見ていきましょう。
初めての試験熟成から製品化へ
堅展実業株式会社は2013年にウイスキー蒸溜所の建設を視野に入れ、厚岸町にてウイスキー原酒の試験熟成を開始。その後、2016年には北海道でおよそ80年ぶりに蒸溜所を設立し、ウイスキーの製造が始まりました。厚岸町は日本屈指の牡蠣の産地でもあり、ウイスキーとのパートナーシップにおいても独自の素材環境が整っています。
2018年からは富良野での原料である大麦の生産を取り入れ、2021年より富良野地区での試験熟成もスタートしました。これにより、富良野熟成庫には多種多様な樽が保管され、現在86樽、トータルで24,600リットルの原酒が熟成中です。この量は700mlボトル換算で約35,000本に相当します。
熟成中の樽の種類と魅力
熟成している樽には、バーボン樽やシェリー樽はもちろん、北海道産のミズナラ樽やワイン樽も含まれており、各樽から生まれる独特な風味を楽しませてくれます。多種の樽を用いることによって、厚岸と富良野という異なる環境での熟成の違いを体感することができ、ウイスキーの奥行きはさらに広がります。
蒸溜所建設計画の進展
また、富良野地区における蒸溜所の建設計画も具体化が進んでいます。厚岸蒸溜所からのウイスキー原酒が定期的に富良野熟成庫に運ばれ、官能検査の結果、同泌の熟成は製品化レベルに達していることが確認されました。しかし、富良野市内での初めての土地選定は諸事情により断念せざるを得ませんでしたが、その後新たな有望地を発見。この新しい土地は、環境面や利便性がそろい、理想的なウイスキー造りに最適な場所であるとされています。
今後は、最短で2027年度に操業を開始することを目指して、さらなる努力を続けていく予定です。この新工場が完成すれば、より多くの原酒を精魂込めて醸造できるようになります。
富良野蒸溜所の名称と製品化のアナウンス
新たに建設される蒸溜所は「富良野蒸溜所」と名付けられ、商標登録も完了しています。2025年度に予定されている製品は、「厚岸蒸溜/富良野熟成」として販売され、ウイスキー愛好者とのコミュニケーションツールとしても機能していくことでしょう。この製品では、厚岸と富良野の熟成環境の違いについての議論も呼びかけており、消費者からの意見を広く受け止める心構えを示しています。
ウイスキーの奥深い世界の中でも、堅展実業の富良野ウイスキーは、その製品化を通じて新たな魅力を発信し、消費者とともに成長していくことでしょう。これからの展開に期待が高まります。