金融機関のデータ分析を深める『FSA Analytical Notes』最新号の概要

FSAの新たなデータ分析レポートを紹介

金融庁（FSA）が最近公開した『FSA Analytical Notes(2025.1) vol.2』では、金融機関のビジネス環境や利益構造の変化に対し、データに基づいた市場や経済のトレンドを考察しています。この号は、特に取引レベルの銀行貸出データと法人の財務データを活用した分析に注力している点が特徴です。

分析の目的

近年、金融機関はより多様化した貸出先に対応するため、経済データを多面的に活用する必要性が高まっています。これに応じて、FSAは詳細なデータの分析を通じて、個々の金融機関のビジネス状況や金融システム全体の耐久性と脆弱性を把握しようとしています。これまでの分析は、主に大まかなデータを基本にしていましたが、今回のレポートは、日本の地域金融機関が発信する住宅ローンの特徴や借り手の分類に関する深い考察を行っています。

レポート内容の概要

1. 共有借り手に対する借り手分類の分析

この章では、複数の銀行が貸付を行う共有借り手について、内部格付けを分析しています。Common Data Platformを用い、データ分析による結果から、地方銀行が関与するクロスボーダーローン（複数の県にまたがるローン）についても言及されています。特に、主要銀行が債権者に含まれるローンは、借り手の財務状況にかかわらず「正常」と評価される傾向にあることが示されています。これにより、地域を越えた貸出がどのように評価されるかを理解する重要な指針を提供しています。

2. 地域銀行による住宅ローンの属性分析

第二章では、地域銀行からの住宅ローンに焦点を当て、クロスボーダーローンにおける利率や取引量の地域差が明らかにされています。地域によって利率の種類やレベルが異なり、取引ボリュームや融資期間が増加傾向にあることも指摘されています。これにより、高リスク化の懸念も生まれており、地域ごとの経済的側面を踏まえた政策の必要性が示唆されています。