Craifと北海道大学病院が共同研究を発表
はじめに
近年、がんの早期発見に向けた新しい手法が求められています。そんな中、Craif株式会社と北海道大学病院が共同で推進している研究成果が注目を集めています。この研究は、第15回 Asian Society of Gynecologic Oncology (ASGO) 2024にて発表され、婦人科がんの早期発見に新たな可能性をもたらすものとして期待されています。
研究の背景
Craifは、マイクロRNAを用いた非侵襲的な検査法の開発を進めており、このたびの研究では尿中エクソソーム由来のmiRNAを対象とすることにしました。具体的には、婦人科がんの早期発見を目的とした新しい診断パネルを設計し、その精度を検証するための機械学習モデルを構築しました。
研究成果のポイント
1.
高精度な婦人科がん検出
尿中エクソソームを用いて、婦人科がんに特化したマイクロRNAパネルを構築。これにより、検出精度の向上を図りました。
2.
機械学習による診断モデル
研究では、機械学習を介して診断モデルを開発し、5-foldクロスバリデーションで高い診断精度(AUC 0.920)を記録しました。さらに、独立したデータでの検証でも高い診断性能が確認されています。
3.
妊娠との関連性
婦人科がん患者に特有の高発現マイクロRNAが、健康な妊婦でも妊娠週数の増加とともに発現が上昇することが示され、特に妊娠後期の症例における利用に注意を要することが明らかになりました。
4.
非侵襲的な検査法の可能性
尿を用いるこの検査法は非侵襲的であり、自己採取が可能です。これにより、定期的なスクリーニング検査としての利用が期待されます。
共同研究の意義
今回の共同研究では、婦人科がん患者と健康な妊婦から得た尿中miRNAを比較し、尿中マイクロRNAが婦人科がんの早期発見における有望なバイオマーカーであることが示されました。これにより、独自の診断方法として婦人科がんスクリーニングが可能になる期待が膨らんでいます。
ASGO 2024について
発表は2024年11月29日から12月1日まで、バリ・ヌサドゥア・コンベンションセンターで行われるASGO 2024にて実施されます。この国際的な学会での発表は、さらなる研究の進展と臨床応用の促進に繋がるでしょう。
Craif株式会社の概要
Craifは、2018年に設立された名古屋大学発のベンチャー企業で、尿などから高精度で病気関連物質を検出する技術を有しています。今後もがんや他の疾患に対する早期発見や個別化医療の実現に向けた取り組みを進める予定です。
まとめ
Craifと北海道大学病院の共同研究は、婦人科がんの早期発見に革新をもたらす可能性を秘めています。尿中マイクロRNAを用いた新たな診断技術は、今後の医療における重要な一歩となるでしょう。