宇宙機用推進機の新たな可能性
北海道札幌市に本社を置くLetara株式会社は、宇宙機用のハイブリッド化学推進機の開発を進め、最近では総額約11.3億円の資金調達を成功させました。このスタートアップは、主にプラスチックを燃料として利用する新しいタイプのエンジンを開発しており、その革新性が注目されています。
近年、宇宙産業は急速に拡大しており、特に小型衛星や商業宇宙の需要が高まっています。Letaraが開発するハイブリッド化学推進機は、液体推進機や固体推進機の持つ課題を解決することで、より安全で効率的な推進ソリューションを提供します。プラスチックを燃料に使用することで、従来の推進機が抱えていた爆発性や高価格といった問題をクリアしています。
資金調達の詳細
今回の資金調達では、6.5億円の追加資金を得ることに成功し、これにより累計調達額は約18億円に達しました。調達先には全日空商事や国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)、SMBCベンチャーキャピタル、豊田合成など、著名な企業や組織が名を連ねています。
全日空商事の代表取締役社長、宮川氏は、Letaraの技術の可能性を高く評価しており、航空産業での経験を活かし、同社の製品を海外市場で広める役割を担います。さらに、SMBCベンチャーキャピタルの上村氏も、Letaraのハイブリッド推進機が持つ独自の利点を指摘し、今後の宇宙実証に向けて全力で支援する意向を表明しています。
Letaraの技術革新
Letaraが開発するハイブリッド化学推進機は、プラスチックを燃料とし、酸化剤には亜酸化窒素を使用した新しいテクノロジーです。この技術により、高い推力を維持しつつ、より安全でコスト効率の高い推進が可能となります。また、この推進機は、宇宙空間において迅速な展開を実現するための特性も備えており、宇宙産業における需要のニーズを的確に捉えています。
社会実装に向けた取り組み
Letaraは、北海道大学の宇宙環境システム工学研究室に基づく技術を活用して設立された企業です。暗黒の宇宙空間にどのようにアクセスするかを最適化するため、日々研鑽を重ねています。ハイブリッド化学推進機の開発により、宇宙のどこにでも24時間以内に到達できるようになる未来を見据えて、技術の社会実装に向けた取り組みを加速しています。
このように、Letaraが手掛けるハイブリッド化学推進機は、宇宙産業の新たなイノベーションをもたらすべく、大きな期待が寄せられています。宇宙旅行や衛星打ち上げの迅速化を通じて、私たちの未来に向けた可能性を広げてくれることでしょう。今後の同社の活躍にぜひ目を向けてください。