国立アイヌ民族博物館のシアター作品『普段着のアイヌ』が受賞
国立アイヌ民族博物館が位置する白老町のシアターで、本年4月から上映されています映像作品『普段着のアイヌ』が、2025年の映文連アワードにて「ソーシャル・コミュニケーション部門優秀企画賞」を受賞しました。この作品は、トンコリ奏者のOKI氏が監督を務め、アイヌの生活と文化をテーマにしたドキュメンタリーであり、当館の新しい試みの一環として誕生しました。
映文連アワード2025とは
「映文連アワード」は、2007年に設立され、プロフェッショナルな映像作品を広めることを目指し、また新たな才能を発掘するための賞です。今年は「映像自由区 Filmmakers' Frontier」をテーマに157本の応募があり、その中から選ばれた優れた作品が評価されています。この受賞を機に、より多くの方々にアイヌ文化に触れていただけることを期待しています。
『普段着のアイヌ』の魅力
『普段着のアイヌ』は、アイヌ文化を現代に生きるウタリ(アイヌの人々)の視点から描き出しています。主演者たちの日常や生きがい、特に天内重樹が演じる狩猟、熊谷カネの料理、瀧口夕美のアイヌ語の使用を通じて、彼らの文化がどのように現代に受け継がれているのかが示されます。そして、作品を通じて観客にはアイヌの豊かな歴史と文化が伝わることでしょう。
OKI監督はこの作品に込めた思いとして、アイヌの歴史を振り返りながら語り、厳しい時代の中で生き抜いてきた先祖たちの姿を描いています。彼は、そこから新しい文化が生まれることを願い、この映画を通して人々にアイヌの豊かさを再確認してほしいと願っています。
監督と館長のコメント
受賞後、OKI監督は自らの言葉で「アイヌウタリ一人一人に語られる物語だけでなく、語られない物語も存在する。その中に現在の複雑な状況が見えてくる」と語り、このテーマの重要性を語りました。また、館長の野本正博氏も、「映文連アワードの舞台での受賞は、アイヌ文化への理解を深める重要な機会である」と話し、さらなる普及への意気込みを示しました。
上映スケジュール
『普段着のアイヌ』の上映は約30分で、当館のシアターにて定期的に行われています。具体的な時間は、午前11:30からと午後14:30からの2回上映され、閉館時間によっては午後17:30の追加上映もあります。ぜひ、予約をして実際にその目でこの素晴らしい作品を観覧してください。
『普段着のアイヌ』は、単なる映画ではなく、アイヌの文化とその歴史を知る貴重なツールです。アイヌ民族博物館を訪れて、受賞作品をご覧いただくことを心よりお待ちしております。