農業DX「レポサク」のパフォーマンス改善
エゾウィン株式会社が開発した農業DXツール「レポサク」が、圃場の生育状況を示すNDVI(植生指数)と農機のGPS行動軌跡を同時に表示する際のパフォーマンスを劇的に向上させました。従来約40秒かかっていた表示時間が約6秒に短縮され、処理速度は約6.7倍に達成されたことが報告されています。この改善により、スマートフォンやスペックの低い端末でも操作がスムーズになり、現場でのデータ活用が飛躍的に向上しました。
開発の背景とニーズ
農業が直面する課題の一つは、圃場における生育状況をリアルタイムで把握し、効率的な作業を行うことです。NDVIと行動軌跡を重ね合わせることで、農家は収穫計画をリアルタイムに調整したり、行動を戦略的に決定したりすることが可能になります。しかし、このプロセスには大量のデータが伴い、特にスマートフォンでは「動作が重い」「画面が固まる」といった技術的な壁がありました。エゾウィンは、このボトルネックを解消するために、描画エンジンの大幅な改善を行いました。
実現した3つの技術的アプローチ
今回のパフォーマンス向上は、三つの主要な技術的アプローチによって実現されています。
1.
高速描画ライブラリの導入: 新たに導入された高性能な描画ライブラリにより、大量の地図データをスムーズに表示できるようになりました。
2.
独自のチャンク処理: データを短時間に負荷をかけずに描画するために、データを細かな塊に分ける段階的描画を実装しました。
3.
描画タイミングの最適化: NDVIとGPSデータを同時に表示する際の順序やタイミングを調整し、最適なパフォーマンスを確保しました。
性能向上の具体的な検証結果
エゾウィン社は、1000圃場のデータを対象にした実験を行った結果、描画完了までの時間が約40秒から約6秒に短縮され、表示処理速度は約6.7倍に向上したことが確認されました。この改善により、ユーザーは圃場の生育状況と複数の農機の行動を同時に確認でき、待たされることなく、ストレスなく操作できる環境が整いました。実際の利用環境でもデータ量や端末スペックに応じて表示速度が変動するため、さらなる最適化を目指しています。
今後の展望
私たちの使命は、農業の効率化に寄与し、リアルタイムでデータを活用できる環境を提供することです。NDVIと農機の行動軌跡を同時に活用することは、スマート農業の更なる進化をもたらすでしょう。今後も現場の声に耳を傾け、開発を進めていく所存です。
エゾウィン株式会社の概要
エゾウィンは2019年に設立され、北海道標津町を拠点に活動しています。農業DX「レポサク」は、超高精度な作業記録やリアルタイムな進捗の可視化、自動的なデータ分析による運用改善を提供し、農業の効率化に貢献しています。さらに、私たちは2030年までに日本最大の完全自動化農場の実現を目指しています。今後も現場のニーズに応じた改善と新技術の導入を続け、多くの農業従事者の支援を行ってまいります。