JICA海外協力隊発足60周年記念ラウンドテーブル開催
2025年に60周年を迎えるJICA(独立行政法人国際協力機構)の海外協力隊が、同節目を記念して変革的なイベントを開催しました。このラウンドテーブルには、医師から起業家、飼育員、インフルエンサーに至るまで、様々な経歴の帰国隊員が集結。彼らは海外での経験と社会への貢献を語りました。
JICAの目的と理念
開会の挨拶を務めた青年海外協力隊事務局長の大塚卓哉氏は、JICAの取り組みについて「開発途上国の経済や社会の発展に寄与し、異文化理解を促進することが私たちの使命である」と強調しました。また、現地の人々との協力を基盤にしていることも再確認され、これからも日本と世界が元気になるような存在を目指していく意欲を示しました。
帰国隊員からのメッセージ
この日のイベントで注目されたのは、4名の帰国隊員によるプレゼンテーションです。各自が異なる国と分野での経験を共有し、その実績や教訓が今の活動にどのように活かされているのかを語りました。
杉下智彦さんは、1995年度にマラウイに派遣され、現地で唯一の外科医として活動した経験を紹介。医療が不足している地域において子どもたちの命を救う重要さを強調し、自身が医師として今後も地域医療の向上に取り組むことを語りました。「命を大切にする社会の創造」を目指して、活動を続ける決意を述べています。
次に吉成絵里香さんが登壇。2015年にカンボジアに派遣され、環境教育に関わった経験から、地域の環境意識を高めるプログラムを実施。子どもたちに楽しみながら環境を学ばせる手法を導入し、帰国後には自身の会社を設立しました。「日本の林業の未来を考え、次世代を担う人材育成に貢献していきたい」との抱負も語られました。
続いて大河原沙織さんが登場。ペルーで実施した出前授業を通じて、動物保護の重要性を訴え続けている彼女は、現在旭山動物園での環境教育に携わっています。子供たちに動物の生態を理解させることで、動物たちの命を守る意識を育てたいとの思いを語りました。
最後に山本岳人さんが登壇。彼は2021年度にベトナムへ派遣され、現地メディアの番組制作に携わった経験について話しました。インフルエンサーとしても活動している彼は、テレビの「オワコン」という偏見を覆すために努力し、双方向の文化理解を図る架け橋となりたいと語りました。
新スキーム「科学技術協力隊」
イベントの締めくくりには、内山貴之国内担当次長が新スキーム「科学技術協力隊」について説明。この新しいプログラムは、国際的な頭脳循環を促進し、世界的なイノベーションへの貢献を目指しています。このスキームにより、日本の若手研究者が途上国の教育機関に派遣され、現地研究者と共同研究を行うことが計画されています。
このように、60周年を迎えるJICA海外協力隊は、新たな時代の挑戦に向けて進化を続けています。今後も、その活動や影響力に期待が寄せられています。2025年には、特別な記念イベントも予定されており、今後の発展に注目が集まります。今こそ、私たち一人ひとりが海外協力隊の活動を知り、支援することが求められています。
JICAの概要
JICAは、150以上の国々で多様なプロジェクトを展開し、国際社会の発展に寄与しています。詳細は公式ウェブサイトにて確認でき、今後も持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた取り組みを続けていきます。