北海道における行政手続きのオンライン利用に関する調査
近年、公共サービスのデジタル化は全国で進んでおり、特に北海道の市区町村でもその傾向が顕著に見られます。紀尾井町戦略研究所(KSI)の最新調査によると、役所での手続きに関する選好や利用方法がどのように変化しているのか、住民の意識が浮き彫りになりました。
調査の背景と目的
この調査は、住民の利便性向上を目指した行政手続きのオンライン化がどのように受け入れられているかを把握することを目的としています。北海道の自治体においても、デジタル技術の導入が進む中、どのような手続き方法が好まれているのかを明らかにする重要なデータとなりました。
調査結果の概要
調査の結果、役所の手続きについての選択肢は以下の通りでした。
- - オンライン利用:39.7%
- - 対面窓口:37.4%
- - コンビニ:11.1%
- - 郵送:6.5%
このデータから、約4割がオンラインでの手続きに向いていることがわかります。しかし対面での手続きを好む層も多く、特に高年齢層では顕著にその傾向が見られます。20代から40代では約2割台ですが、70代以上になると6割を超える割合が対面を選ぶ結果となりました。
さらに、行政に発行される広報誌の読者層についても調査し、「毎号必ず読む」と回答した割合は地域によって異なりました。北海道でもこの傾向が顕著で、年齢が進むにつれて広報誌を読む人が増えることが明らかになりました。
働き方改革と窓口開庁時間の短縮
最近では、職員の働き方改革に伴う窓口開庁時間の短縮もテーマとなっています。この施策について、「不便だと思うが仕方がない」という意見が51.0%を占めました。これは、利便性と職員の労働環境を両立させるためには止むを得ない選択と捉えられていることを示しています。
問合せ手段と住民の不安
調査では、行政サービスの利用において不明点が生じた場合、どのように解消しているかも聞かれました。最も多かったのは対面窓口の訪問で46.8%、次いで担当部署への電話が43.0%、ウェブサイトのFAQを利用する人が31.4%でした。年代が高くなるほど、対面での対応を選ぶ割合が増えることも特徴的です。
また、61.5%の住民が不明点が解消されなかった経験を持っており、その理由としては「手続きや必要書類が複雑」であることや「担当者の説明が不十分」であることが挙げられていました。この状況は、今後の行政サービスの改善に向けて重要な課題となるでしょう。
まとめ
この調査から、北海道における市区町村の行政手続きに関する住民の意識や選択肢が明らかになりました。オンライン化が進んでいる一方で、対面窓口を利用したいと考える高年齢層のニーズにも応える必要があります。これからの行政サービスの在り方について、新たな視点を提供する重要なデータといえるでしょう。北海道の自治体が今後どのようにデジタル化を進め、住民の利便性を向上させていくのか、その動向に注目が集まります。