北海道大樹町が宇宙航空課を新設
北海道大樹町は、民間に開放された商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」の運営に伴い、2025年の春に新たに「宇宙航空課」を設立します。この措置は、宇宙産業と航空宇宙関連企業の誘致を目的とする戦略の一環として行われ、さらに大樹町における宇宙活動の推進を強化するものです。
宇宙活動を推進する新体制
大樹町では、2016年に航空宇宙推進室を設置し、以降、北海道スペースポートの拡充を進めてきました。2022年に始まった新たなロケット射場LC1の整備と滑走路の延伸工事が完了することで、2024年に滑走路は300メートル延長され、2026年にはLC1が完成予定です。この取り組みによって、大樹町の宇宙関連業務は独立した課として体制を強化し、さらなる発展を目指します。
大樹町長の黒川豊氏も、「1985年から続けてきた宇宙のまちづくりを踏まえ、航空宇宙関連業務を専門に扱うため新設を決定しました。国における宇宙開発の加速に応じ、今後の需要に対応していくための体制が必要です」とコメントされています。
全国的な宇宙ビジネスの拡大
近年、宇宙ビジネスは急成長しており、2040年には市場規模が現在の3倍、140兆円に達する見込みです。人工衛星を打上げるロケットの需要が増加している一方で、国内での打上げが少ないため、多くの人工衛星は海外で打上げられている現状があります。このため、政府は2030年代前半までに年間30件のロケット打上げを目指し、宇宙への自立的なアクセス確保を表明しました。
文部科学省の支援策や宇宙戦略基金の設立により、地方自治体や企業の宇宙関連事業は活発化しています。大樹町もこの流れに乗り、新たな宇宙産業の集積地としての役割を果たすことを目指します。
HOSPOの特色と未来への展望
HOSPOは、日本で唯一の複合型宇宙港として、国内外の企業に打上げと実験の支援を行っています。特に、ロケットやスペースプレーンの打上げが行える環境であり、年間約40件の実験が実施されています。2026年には新たに設けられるLC1に加え、さらなる施設整備も計画されています。これにより、宇宙ビジネスの発展を促進し、アジアにおける宇宙ビジネスのハブとしての位置づけを強化する狙いがあります。
特に、地域経済を支えるための企業版ふるさと納税が重要な役割を果たしており、多くの寄付者からの支援を受けています。これらの取り組みを通じて、地方創生と宇宙産業の発展を加速する大樹町の姿が期待されます。
まとめ
北海道大樹町は、2025年の宇宙航空課設置やHOSPOの活用を通じて、国内外からの投資や誘致を強化し、「宇宙版シリコンバレー」というビジョンを実現しようとしています。これによって宇宙産業が地域にもたらすあらゆる可能性を引き出し、地方創生を推進する姿勢は、私たちに新たな未来を示唆しています。