東京都とMITが連携!蓄電コンクリートの未来を切り開く
2023年8月20日、東京都が発表した新しい支援プロジェクトが注目を集めています。それは、會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市)とマサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で開発している「蓄電コンクリート」です。このプロジェクトは、東京都が進める「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」に採択され、今後2年間で合計2億円が支援されることが決まりました。
プロジェクトの背景
東京都は、エネルギー政策の一環として「電力を減らす、作る、貯める」というスローガンを掲げています。このコンセプトを実現するため、コンクリートの蓄電池化技術が必須であるとされ、実用化が期待されています。蓄電コンクリートは、再生可能エネルギーの普及において「発電と消費の時間的不一致」を解消するための新たな解決策として位置付けられています。
研究開発の主な柱
この新しい社会基盤の実現に向けて、以下の3つの具体的な開発が進められます。
1. 標準蓄電モジュールの開発
「標準蓄電モジュール」は、蓄電コンクリートの基本構造で、電極、セパレーター、電解液を一体化した形状を持ちます。これにより、都市部に適した蓄電構造体の基本性能が確立され、今後の用途開発において基盤技術となることが期待されています。試作段階では、蓄電容量300Wh/m³、100V級の出力を持つ標準ユニットの評価が行われます。
2. 自由設計による蓄電ハウジングの開発
このプロジェクトでは、公共性の高い場所に設置できる蓄電コンクリートを使用したベンチやモニュメントなどの屋外型インフラを開発します。特に、3Dプリンターを使った自由形状の設計・施工が可能となるため、意匠性と施工性を兼ね備えた商品化を目指します。また、非常時には地域のエネルギー供給拠点としての機能も果たします。
3. 戸建住宅向け蓄電ユニットの開発
住宅に特化した蓄電ユニットを開発し、再生可能エネルギーの蓄電と自家消費を効果的に行えるモデルを構築します。これにより、家庭が自ら蓄電池を保有し、停電時にも最低限の生活機能を維持できるようになります。こうした取り組みを通じて、都市全体の電力インフラの強靭化を図ります。
今後の展開
このプロジェクトは、蓄電コンクリートの社会実装へ向けた大きな一歩です。2023年9月25日には、蓄電コンクリート技術を活用したプロダクツの企画開発と全国普及を目指す「蓄電コンクリート工業会」が設立される予定です。これは、蓄電コンクリート技術の新たなビジネスモデルを支持する重要な動きとなります。
會澤高圧コンクリートのビジョン
「Innovate・Challenge・Trust」の理念の下、會澤高圧コンクリートは新たな企業価値の創出に挑む総合コンクリートメーカーです。自らの研究開発を通じて、伝統的な素材産業においてもインノベーションを促進し、スマートマテリアルを基軸とした未来を形にしていく方針です。今後の進展が楽しみなプロジェクトです。