鍋料理の街・大阪が全国シェアを誇る理由。老舗店主の証言

鍋料理の街・大阪が全国シェアを誇る理由

大阪と言えば、食い倒れの街として知られ、数多くの飲食店が軒を連ねています。その中でも特に注目されているのが鍋料理です。この魅力的な料理業態がどのように発展してきたのか、株式会社Reviewの調査結果をもとに考察し、老舗の鍋店「ザ・ちゃんこ萩屋本場所」マスタ小林政仁さんのインタビューを通じて、その背後にある文化的要素を探ります。

鍋料理業界の現状

株式会社Reviewが発表したデータによれば、2023年には全国で162件の新たな鍋料理店がオープンし、2024年には186件へと増加。この中で大阪府は全国前年比16.9％を占め、観光需要の復活に伴い、その数はもう一度伸びていることが分かります。

特に2023年から2024年にかけて開業数が増加したのは東京、大阪、沖縄、そして京都の4つの地域で、大阪においても同様の傾向がうかがえます。これにより、鍋料理の需要が高まっている背景には、観光客による食文化の再評価があると考えられます。

大阪独自の鍋文化

大阪では鍋料理が人々に親しまれ続けているのは、やはり「みんなで囲んで楽しむ」文化にあると言えるでしょう。小林さんも、鍋は仲間とわいわい楽しむための料理だと語ります。さらに、コストパフォーマンスの良さも大阪の鍋料理の魅力の一つです。東京では高級な鍋が多い中で、大阪ではリーズナブルに楽しむことができるため、観光客にも受け入れられやすいのです。

ザ・ちゃんこ萩屋本場所の魅力

老舗の鍋店「ザ・ちゃんこ萩屋本場所」は、思い出深い歴史を持つ店舗です。小林さんは、22歳で独立し、長年建設業に従事した後、母親から受け継いだ飲食店の経営を引き継ぎました。父からの教えを忠実に守り、オリジナルレシピで運営している彼の鍋は、体に優しい食材を使用した「計算された食材構成」が特徴です。

彼は、近年の物価高騰に対しても開業時からの価格設定を見直すことなく、リーズナブルな価格で提供する精神を貫いています。「みんなが楽しめる価格帯を維持したい」と語る小林さん。その姿勢が地域の人々に支持される理由の一つでしょう。

コロナを乗り越えた地域愛

小林さんの店舗は、コロナ禍にあっても友人たちの支えを受け、厳しい瞬間を乗り越えました。友達の存在が店舗運営を支える大事な要素になっているとのこと。彼は、「飲食業を始める人へのメッセージ」として、人との関係を大切にし、互いに助け合うことの重要性を強調します。

まとめ

大阪は、ただの食文化を超えて、人と人との絆が生まれる場でもあります。鍋料理という食を通じて、地域の文化が色濃く感じられるのは、小林さんのような飲食店の経営者たちの努めがあってこそです。未来に向けて、地域経済の活性化と同時に、新たな食文化の発展にも寄与していくことでしょう。

在りし日の鍋料理業界の盛り上がりを背後で支える人数の努力と、食を通じた文化の成長は、単なるデータだけでは語り尽くせない“人の営み”がそこにあることを示しています。今後も、その現場での声と共に、データは進化し続けます。