函館市が日本DX大賞と日本ノーコード大賞を受賞
函館市は、2025年7月に開催される日本DX大賞において「地域DX部門・優秀賞」を、同日開催の日本ノーコード大賞では「自治体部門・大賞」を受賞しました。これは、函館市が導入したスマホ市役所の取り組みが高く評価された結果です。この取り組みは、子育て世帯の負担を軽減するためのデジタル化を目指し、妊娠期から就学前までの行政手続きをLINEを通じてオンラインで実現しました。
受賞の背景
函館市は、人口減少や少子高齢化が進む中、地域社会のサービス向上に向けた新たな試みを進めています。特に、子育て世帯に対する「やさしさ」を実現するため、函館市LINE公式アカウントを活用して行政手続きのデジタル化を進めました。この背景には、住民からの「電話や対面での手続きが煩雑で負担に感じる」といった声があり、これを解消するための独自の戦略が求められていました。
スマホ市役所の取り組み
2024年1月に開設される「函館市スマホ市役所」では、住民がLINEを利用して手続きを完結できるシステムを構築しました。これは、Bot Expressが提供する官公庁専用対話型アプリケーション「GovTech Express」を基にしており、ノーコード開発を通じて、職員が自らサービスの設計・改善を行える体制を整えました。これにより、職員が現場からの声を直接反映できるようになり、より迅速かつ市民に寄り添ったサービスが提供できるようになります。
やさしい行政サービスの実現
函館市が目指すのは「便利さ」だけではありません。「やさしさ」を大切にし、すべての住民に優しいサービスを届けることが第一の目的としています。具体的には、妊娠期から小学校入学までの「はじめの100か月」に着目し、この貴重な期間にかかる負担の軽減を図っています。この期間は、親子にとって思い出深い瞬間が多く、行政手続きが少しでも楽になることで、その時間をより大切にできるようになります。
ある住民の声には、「健康教室を予約しようと思って電話番号を探したが、なかなか見つからず、電話をかけるタイミングも難しい」といったものがあり、行政手続きが生活の中での負担となっていることが浮き彫りになっています。このような背景を理解し、サービスの向上に取り組むことが、函館市の強みになっています。
地域DXの新たなモデル
函館市の取り組みが評価されたのは、その「現場の声」を反映したシステム設計にあります。職員自らが使いやすいデザインや機能を考え、迅速に改善を重ねることで、利用者にとって本当に必要なサービスへと育て上げていくプロセスが評価されました。さらに、補助金や予算を有効活用することで、従来のような高コストを避け、持続可能な行政サービスを実現しています。
先進的な取り組みに向けて
函館市の企画部地域デジタル課の松林静輝さんは、「ノーコードは行政のDXを未来へ進める新しい文化であり、今回の受賞はその挑戦の一環である」とお話されています。今後も、住民とともに歩む「やさしい行政サービス」を、Bot Expressと協力しながら育てていきたいという意向も示されています。これからの地域DXは、便利さだけでなく、住民に寄り添う「やさしさ」をどう届けられるかが鍵となるでしょう。
まとめ
函館市のスマホ市役所の取り組みは、行政サービスのデジタル化の新たな形を示しています。行政は、市民の声を聞き、そのニーズに合わせた「やさしいサービス」を提供することで、より良い地域社会を形成していけるのです。今後も函館市の動きに注目が集まります。