水素専焼ジェットヒーター「HydroH2eat」の導入
日工株式会社が開発した水素専焼ジェットヒーター「HydroH2eat」は、国内初の施工現場での導入が行われました。このヒーターは、鹿島建設株式会社が担当する建設現場に使用され、特に寒冷地での性能を生かすために設計されています。
1. HydroH2eatの特長
「HydroH2eat」は、水素を燃料として使用することで、CO₂の排出をゼロにするという特筆すべき特長があります。これにより、作業者が直面する一酸化炭素中毒のリスクを低減し、安全性の向上にも寄与します。また、非常に静かな運転音を誇り、灯油ヒーターと比較して音量が3dB減少するという結果が得られています。
2. 鹿追町のカーボンニュートラル水素
このプロジェクトでは、鹿追町位置する「しかおい水素ファーム」で製造されたカーボンニュートラル水素が使用されました。北海道では豊富な再生可能エネルギーを活用した「ゼロカーボン北海道」を実現するため、多くの取り組みが進められています。特に十勝地区は、家畜糞を原料とした水素の製造を通じて、地域産業の発展と脱炭素を同時に進めています。
3. 導入に至る背景と成果
日工がこのヒーターの開発に着手したのは、帯広市の宮坂建設工業株式会社の要請がきっかけです。2024年2月には実証実験を行い、安定した燃焼を確認した後、2025年4月に製品化が完了しました。そして今回の導入試験では、「HydroH2eat」を90時間連続運転し、安定性と安全性を確認しました。
導入結果
- - 騒音レベル:灯油ヒーター比3dB減(71.4dBから67.0dB)
- - CO₂排出量:0kg
- - 水素使用量:平均11Nm³/h
これらのデータから、HydroH2eatは実際の建設現場においても高い性能を発揮し、カーボンニュートラルな未来に貢献する可能性を示しています。
4. 日工株式会社の歩み
日工株式会社は1919年に創立され、現在では日本のインフラを支えるプラント機械メーカーとして成長を遂げています。主にアスファルトプラントを手がけ、国内シェアは約80%を誇ります。今後も、環境に優しい技術の開発を進め、地域社会への貢献を続けていくでしょう。
こちらの試みにより、鹿島建設が手がける現場にて水素専焼ジェットヒーターの導入が実現し、未来の建設現場の姿が見えてきました。環境への配慮と共に作業者の安全を考慮した、新たなスタンダードが立ち上がる日も近いかもしれません。