お口の健康と脂肪肝の関係性を探る新たな研究
近年、食生活の変化や生活習慣の欧米化に伴い、日本国内でも脂肪肝に悩む人々が増加しています。実に2000万人以上が影響を受けていると言われる脂肪肝ですが、これに関連する新しい研究がサンスターグループと自治医科大学の共同で行われました。この研究では、メタボリック機能障害を伴う脂肪性肝疾患(MASLD)と口腔の健康状態との関連性が掘り下げられています。
研究の背景
脂肪肝は生活習慣病や代謝異常と密接な関係があり、その進行が肝硬変や肝がんのリスクを高めるため、特に予防が重要視されています。これまでの研究では、NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と歯周病の関連が指摘されてきましたが、口腔機能については十分なデータがありませんでした。このため、サンスターはMASLDの患者と健常者を対象に、お口の健康と日常生活における影響を分析しました。
研究の方法
53名の参加者が対象となり、19名がMASLD、26名が健常者という構成で行われました。口腔の健康状態や機能については、専門の歯科医師と歯科衛生士によって詳細な検査が実施され、生活の質(QOL)への影響についても評価されました。特に、食事や会話といった日常的な行為がどのように影響を受けるかが重要な焦点となっています。
研究結果
調査の結果、MASLDの方は健常者に比べて口腔に関する様々な問題を自覚していることが明らかになりました。特に「噛めない」や「思い通りに話せない」といった問題が強く、これは食事やコミュニケーションに大きな影響を及ぼすことが分かりました。お口の健康状態、むし歯や歯周病の存在がMASLDのリスクと関連していることも明らかになり、特に「しっかり噛める歯の本数」が健康状態に大きく関与していることが示唆されています。
口腔機能の中では、咀嚼能力や舌の力については統計的に有意な差がありませんでしたが、機能的に残っている歯の本数や唾液の分泌量には顕著な差があることが確認されました。このことは、口腔の健康がMASLD予防において非常に重要であることを示しています。
まとめ
本研究により、口腔の健康状態がMASLDに対して重要な影響を持つことが確認されました。特に、しっかりと噛める歯の本数や歯周病の進行状況が脂肪肝のリスクに関連することが示され、今後は医科と歯科の協力が期待されます。お口の健康を守ることが、全身の健康につながる可能性を持っているのです。このような観点から、今後はさらなる研究が進むことが望まれます。
健康寿命を延ばすために、日々の口腔ケアを大切にし、体全体の健康向上に努める意識を持つことが重要です。