水産業の未来を変える微細藻類培養装置の全貌
北海道から沖縄にかけて、微細藻類の培養装置が導入され、日本の水産業を進化させています。この装置は、見た目にはSF映画に登場する宇宙船やロボットのようですが、実はカナダ製の「フォトバイオリアクター」と呼ばれるものです。これが水産業における重要な役割を果たしていることをご存知でしょうか?
このフォトバイオリアクターは、微細藻類の生産を自動化することで、生産の安定化や効率化、さらには品質向上を可能にしています。養殖において微細藻類は、魚介類の幼生や稚貝、稚魚への給餌の基盤となる重要な要素です。特に、種苗生産における微細藻類の安定供給は重要であり、コストの約40%を占めると言われています。
フォトバイオリアクターの仕組み
フォトバイオリアクターは、1250リットルの容積を持ち、毎日200リットルから400リットルの高濃度微細藻類を連続生産する能力を持っています。この生産量は、従来のタンクを使用するバッチ培養に比べて圧倒的な効率性を誇ります。さらに、日常的な作業の自動化により、タンクの清掃や収穫作業の負担を軽減し、労働力やコストの大幅な削減が実現されています。
特に注目すべきは、容器の洗浄システム(CIP)です。ここでは、微細藻類の品種を簡単に変更でき、タッチパネルからの指示一つで洗浄・殺菌が完了します。この洗浄後、外部からの汚染リスクを最小限に抑えながら、連続培養が6週間から最高で12か月も可能になるのです。
日本全国への導入
2024年1月に日本に初めて設置された標準機PBR1250Lは、すでに多くの企業に導入されており、北海道の上磯郡漁協ウニ種苗センターや鹿児島のNTTグリーン&フードなど、様々な水産場所で活用されています。この装置の導入により、クリーンで健康的な藻類を大量に稚貝や稚エビ、稚ウニに供給でき、作業者の負担が大幅に軽減されています。
東京シーフードショーでのデモンストレーション
この装置の凄さを伝えるため、2025年に東京ビッグサイトで開催予定の「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」にも出展される予定です。昨年実施されたデモは、来場者から「最も印象に残る展示」と評価されています。ブースでは、カナダの最高科学責任者が実際にデモを行い、その性能を来場者に直接体験してもらいます。
この微細藻類培養装置は、従来の養殖方式に挑戦し、効率よく高品質の餌を供給することで日本の水産業に大きな影響を与えています。さらに、スマートフォンを通じた遠隔操作やデータ管理が可能なため、現場での作業負担を軽減しつつ、精度の高い管理が実現されています。これにより、さらなる収益性の向上も期待されています。
結論
インダストリアル・プランクトン社のフォトバイオリアクターは、日本の水産業の未来を変える存在です。高効率かつコスト削減が可能なこの技術は、持続可能な養殖業を支える新しいモデルとして注目されており、今後の展開が非常に楽しみです。今後も、ますますさまざまな地域での導入が進むことでしょう。これからの水産業の革新に期待が寄せられています。