旭川信用金庫が進化する相続管理の革新
旭川信用金庫は、業務のデジタル化を進める中、相続管理業務の効率化に向けて新たな一歩を踏み出しました。ウイングアーク1st株式会社が提供するBIダッシュボード「MotionBoard」を導入し、全40店舗における相続事務を本部に集中化することで、業務効率を大幅に向上させ、年間約3,000時間の業務削減を実現しました。
背景と導入の目的
旭川信用金庫では、Windowsのバージョンアップに伴い、古いBIツールの置き換えが必要となりました。従来の方法では非効率的なデータ収集や情報開示の遅れが課題となっており、特に相続業務においては、公的書類の確認に専門知識が求められ、事務作業に多くの時間が取られていました。これを解消するため、2024年5月にDX戦略を策定し、データ活用基盤の構築を図りました。
「MotionBoard」の導入に際し、データ入力機能や簡易なワークフロー機能が備わっており、現場での使いやすさにも重点を置いています。また、必要なデータを一元管理できるSVF(※1)帳票出力の実現も導入の大きなポイントです。
効果と実績
相続事務の本部への集中化を目的として、相続センター準備室を設立し、「MotionBoard」を駆使した相続管理システムを構築しました。2025年7月には全40店舗での運用を開始し、営業店で対応していた相続業務が本部に移行され、平均で年間1,500件の処理が行われています。その結果、約3,000時間もの営業店の事務作業が削減されました。
相続管理システムの活用によって、従来10枚以上の照会票を出力し、情報を確認していた作業が、必要な情報を集約した1枚の相続照会票で完結できるようになりました。これは業務の効率化だけでなく、ミスの防止にも貢献しています。例えば、遺言書や遺産分割協議書の有無、相続人の構成を入力することで自動的に必要書類を判断し、一覧で管理することが可能です。
更に、相続受付票にもとづいて必要情報をダッシュボードから直接入力することができます。このシステムは他にも顧客照会システムや特別保証制度のフォローアップ報告書など、複数の機能が「MotionBoard」上で稼働しており、旭川信用金庫は常に業務要件に合わせてシステムを改修し、最新の運用に適応した形でシステムを維持しています。
顧客への新たな提案活動へ
この業務効率化の結果、削減された時間は営業店が新たな顧客提案活動に使われることが見込まれています。また、データ活用のアイデアを広く募集し、営業職員が自発的にデータ活用を考える意識を醸成することで、さらなるDXの推進を図っています。
旭川信用金庫のこの取り組みは、地域金融機関としての役割を果たしながら、デジタル化を通じて新たな価値提供を目指すものです。
旭川信用金庫の情報
- - 設立年: 1914年4月
- - 所在地: 北海道旭川市
- - 事業内容: 預金、貸付、手形割引、為替取引など
特に2024年9月には、北海道の金融機関として初めて経済産業省のDX認定を取得し、その先進的な取り組みが評価されています。
※1:帳票基盤ソリューション「SVF」