北海道で未来を見据えたリサイクル事業の新展開
北海道エコリサイクルシステムズ(HERS)は、株式会社日立製作所との協創により、地域資源の循環活用と脱炭素を同時に達成する「CE×CN」の先進的な事業モデルを構築することを発表しました。この取り組みは、従来リサイクル業界でしばしば見られたエネルギー消費のトレードオフの問題を解消する試みとして、多くの注目を集めています。
リサイクルからの脱却と新たな資源循環の試み
HERSは1999年に設立以来、使用済み家電やパソコン、事業用機器からリサイクルを行い、鉄や非鉄金属、プラスチックなどの資源を回収し再資源化してきました。このプロセスは新規資源の採掘や最終処分量の削減に寄与し、循環型経済の確立を進めています。しかし、最近の地球温暖化に対処するためには、更なる温室効果ガスの削減が求められており、HERSはここで新たな施策にチャレンジします。
具体的には、2024年11月からは電力取引プラットフォームを通じて再生可能エネルギーのみを使用することを計画しています。また、苫小牧市にある倉庫の屋根上に太陽光発電設備を2025年10月に設置予定で、これにより年間約800トンのCO₂排出量削減を目指しています。このように、再生可能エネルギーを利用したリサイクルプロセスへの転換は、大きな環境効果を期待されています。
技術を駆使した持続可能な社会の構築
この事業モデルの全体設計と構築は、日立が担当します。日立はOT(制御・運用技術)分野での豊富な経験と知見を持っており、さまざまな技術開発や実証実験を通じてカーボンニュートラルに向けた取り組みを行ってきました。HERSが進めるリサイクル技術の高度化と設備の高機能化は、CEとCNの実現を加速させるでしょう。
日立はこの「CE×CN」の事業モデルを全国のリサイクル業者に展開し、持続可能な資源利用の促進を目指しています。製造業や流通業にも取り組む姿勢を示し、Lumada
を介したデータの活用を通じて、環境と社会の課題解決に寄与することを目指しています。
まとめ:地域と共に築く持続可能な未来
HERSと日立の共同プロジェクトは、ただのリサイクル事業にとどまらず、地域経済の活性化と持続可能な社会の形成を同時に実現することを目指しています。このプロジェクトが実現することで、北海道だけでなく他の地域への展開も期待されており、循環型経済と脱炭素社会の両立という理想に大きく近づくことができるでしょう。これからの展開にぜひ注目していきたいと思います。
Lumada:日立が提供するデジタルイノベーションを加速させるための先進的なデジタル技術を活用したソリューションです。