公立保育施設における使用済みおむつの持ち帰り廃止の進展と課題
近年、全国的に公立保育施設での使用済みおむつの持ち帰りルールが見直されています。特に、BABY JOB株式会社が運営する「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」による調査の結果、2022年からの調査で521の市町村が持ち帰りルールを廃止しました。これは、保護者や保育士にとって、大きな負担を軽減する動きといえます。
調査の背景と結果
「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」が行った調査では、全国1,414の市区町村を対象に、使用済みおむつを持ち帰らせているかを確認しました。その結果、年々持ち帰り廃止が進み、現在では55市町村(全体の3.9%)が依然として持ち帰りを求めています。これは、厚生労働省が「使用済みおむつは園内で処分することが望ましい」と示した方針に従わない地域の存在を示しています。
この持ち帰りに関する調査は、過去4回にわたり実施されており、持ち帰りルールが廃止された市町村が増加していることが確認されています。その一方で、長野県、北海道、奈良県では、依然として多くの市町村が持ち帰りを続けています。全国的に見ると、約半数の23都道県においてまだ持ち帰りを求める地域があることは、地域ごとの対応の違いを浮き彫りにしています。
持ち帰り廃止の動きと今後の展望
今回の調査において、使用済みおむつの持ち帰りを続けている市町村に対して今後の方針を尋ねたところ、約5市町村に1つが「今後廃止を予定・検討中」との回答がありました。これは、ルール見直しへの前向きな姿勢を示しており、今後さらに持ち帰り廃止が進むことが期待されます。こうした動きは、地域差を解消し、すべての子育て世帯が安定した環境で保育サービスを受けられるようにするためにも重要です。
また、持ち帰りを続ける理由としては、「これまでの慣習」や「ごみの保管や回収の手配が難しい」といった理由が挙げられています。意外にも「保護者からの要望がない」という回答も見受けられ、自治体と保護者の意識のズレが存在することが分かります。調査では、以前よりも「子どもの体調管理のため」という理由が減少してきている点も注目に値します。
私立保育施設への支援の必要性
さらに、調査結果から私立保育施設が使用済みおむつを園内で処分できるようにするための支援が不足している現状も浮かび上がりました。実施している自治体は全体の約15.9%に過ぎなく、今後さらなる支援が求められます。地域による教育環境の格差をなくすためには、政策的な後押しが必要です。
専門家の意見と啓発活動
ライターであり、子育て支援の提言を行う髙崎順子氏は、使用済みおむつの持ち帰り問題について、地域ごとの差異が子どもたちの育成環境に影響を与えることを懸念しています。彼女は、「全国で持ち帰りゼロを目指すべきであり、自治体は意識を変えていく必要がある」と強調しています。
最後に、「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」は、地域ごとの差を解消するための活動を続けており、オンライン署名の取り組みや政府への要望書提出など、具体的なアクションを展開しています。すべての子育て世帯が安心して保育サービスを利用できるよう、今後も取り組みの強化が望まれます。