DXで進化するごみ収集業務
北海道苫小牧市に本社を置く山本浄化興業株式会社は、廃棄物収集運搬の分野で新たな試みを始めています。その中心となっているのが、エゾウィン株式会社の動態管理DX「レポサク」です。この画期的なプラットフォームは、収集車両の走行データを精密に記録することで、従来の経験や勘に頼った業務に変革をもたらしました。
1. 動態管理DX「レポサク」とは
「レポサク」は、高精度なGPSロガーを利用し、収集車両の走行情報を1秒単位で自動記録します。このデータにより、以前のように経験則に依存せず、客観的かつ明確なルート改善が可能になります。これまでは、ベテラン作業員の経験則が基盤でしたが、レポサクにより、その知識がデジタル化され、チーム全体で共有されることが実現しました。
2. 実証事業の背景
この取り組みは、2024年度の「Local Innovation Challenge HOKKAIDO(LICH)」にエゾウィンが選ばれたことから始まりました。このプログラムは道内の企業とスタートアップの技術を結びつけ、地域課題の解決を目指すものです。山本浄化興業は、収集業務における効率化を模索していたため、エゾウィンとの連携は自然な成り行きでした。
3. 実証事業の内容
今年度、エゾウィンの「レポサク」を通じて、実施したごみ収集業務の改善プロジェクトでは、実際に収集車両に、みちびきCLAS対応のGPSロガーを導入。その結果、収集ルートの走行データが正確に収集され、データに基づく改善活動が行われています。これにより、社員たちからは「DXを初めて実感できた」という高評価も受けています。
4. データ活用による社会的な意義
「レポサク」によって届けられたデータは、新人作業員たちにとっての「デジタル教科書」となり、教育面でも活用されるようになっています。ベテランの知識が可視化されることで、経験の有無に関わらず全員が参加できる改善活動が行われています。また、リアルタイムのデータを基にして、チームメンバー間のコミュニケーションが円滑になり、仕事のプレッシャーが軽減されたという声も上がっています。
5. デジタル化がもたらした安心感
従来、管理者からの無言のプレッシャーが作業員にストレスを与えていましたが、レポサクによって全体の進捗が把握できるようになったことで、連絡の頻度が大幅に減少しました。これにより、作業員の中には「仕事に対する焦りがなくなった」との反響もあります。
6. 従業員を守る強力な盾
また、レポサクは時として従業員を守る役割も担います。ある事例では、収集作業が行われた場所に対する住民からの問い合わせがありました。「レポサク」のデータを基に、作業員は自らの主張を証明することができ、理不尽なクレームから身を守ることができました。これにより、従業員のモチベーションも向上しています。
7. 前向きな社内のコミュニケーション
山本浄化興業の代表取締役、山本紘之氏は、「レポサクを導入することで、これまでなかった前向きな会話が社内に増えています。社員の心理的負担を軽減するだけでなく、業務改善にもつながっています」と述べています。
8. 今後の展望
今後、エゾウィンでは、「レポサク」を活用した成功事例を基に、全国の廃棄物収集運搬業者にもその価値を広めていく考えです。これによって、業務の効率化や社員の働きやすい環境の実現が期待されています。
9. エゾウィンの理念
エゾウィン株式会社は、2019年に設立され、北海道東部の農業発展に貢献することを使命としています。農業分野での培った技術力を活かし、全国的な問題解決に向けた取り組みを続けていくことで、日本の食を支える存在となることを目指しています。